戸惑い 11
「抱いてもらった?」
サエが朝帰りしてきた私のズボンを叩く。
「反応もなし。ちょっぴり妬ける。ママのあれ凄いから」
もうミルクを飲ませたらしくおとなしく寝ている。
「ママもう乳母車をプレゼントしてくれたわ。住民票も取れるって」
「しばらく入籍はできないよ」
「それも聞いた。でも名前は考えてね。それと話していなかった私のこと。イサムって私の最初の父の名前って言ってたよね」
「そこまで聞いていた」
「3人目の男が旅回りの劇団で子役をやっていた私に日常も女の子の格好をさせたの。母は言いなりで男は勝手にサエと呼んでいた」
「その時からサエだったのか」
「ママは透だけど私は剛よ。好きじゃなかった。いつの間にか女の子の格好をしているうちに女の子になりきっていたわ」
財布からお守り袋に入った写真を出してみせる。
「可愛いなあ」
「母が若い芸人と駆け落ちしてから、同じ布団で寝さされた。酔ったら口に含まされて最後には太いのを入れられた。そのたびに血だらけになって逃げまわっていた。気持ち良いと感じたのはイサムが初めて」
「この前やぶ医者と飲んだ。ホルモン注射を打ちに行ってたのやな」
「ええ、あの逃げた日にやぶ医者にお尻の治療してもらったの。手術をしたのはカラオケバーでお金を貯めてから」
「カオルは26歳だったけどサエは?」
「17歳」
「こんなおっさんと子供を抱えていいのか?」
「今凄く幸せ!」
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