向き合う 6
サエは『白薔薇』の衣装をまとめて受けるようになった。それで友達の一人をアルバイトで雇ったようだ。どうも竿を持った少女のようだ。
帰りがけに珍しく金融ブローカーのやっさんが覗いた。その足で定番の寿司屋に行く。
「ようやく京都駅裏の土地がまとまった。悪いけどまた一緒してや」
と言いながら週刊誌を開く。
「例の伊藤な、ITMファイナンスを解任されたで。800億ほどの焦げ付きが出ているようや。メインバンクが会社整理をするという噂や」
やはりカオルが言っていたことだ。頭取が腹をくくった。例の証拠が伊藤のもとにないと判断して片をつけにかかった。
「それがあの記者曰く伊藤がその日に消えてしまったと言うてる。若頭は関東のやくざに連れ去られたと言うてる」
「でも伊藤は元々関東のやくざと組んでいたのでは?」
「伊藤は関東のやくざの金も運用してたんや。それも焦げ付かせとおる。金蔓も失って身柄を確保したそうや。しばらく安全やが伊藤が苦し紛れであんたの秘密をゲロしたら危ないと言ってたで」
やっさんは私がなぜ狙われているのかは知らない。
それにカオルは信じられるが、頭取が何を考えているのかはわからない。カオルの言うように早い時期に頭取に会わないといけない。何より記憶のあった時の私が逃げ出したのにはわけがあるはずだ。本当に信用していたら逃げ出さなかっただろう。ひょっとしたら頭取と会ったら記憶も戻るかもしれない。
「伊藤が生きていると困る奴がうようよいるのさ」
頭取もその一人だ。
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