登場 5
「最近のイサムどうかしてるよ」
夜から朝まで抱き続けてもう一滴も出ない。
「除夜の鐘も年越しそばも食べてないのよ。もし朝風呂に入ってきたら確実に殺してたよ」
こんなに体を合わせて精を流し込んでいるのに一度だって同じ風呂に入ったことがない。これをしたら別れると言われるそんな気迫がある。
「いやあ」
元旦にも下の喫茶店のモーニングはやっている。
すでにボンが来ていてフミコのお腹をさすっている。自殺騒ぎから一層二人は仲良くなったようだ。だがボンの親父の件もあり入籍の話はまだ白紙だ。
「そうだイサムの尋ねていた初老の男、彼女の店に何度か来ていたようだよ」
「ええ、女将さん曰くあれは女性だって言ってた」
『白薔薇』のマネージャーだ。
「前のやくざと違って髭のない眼鏡をかけているイサムの今の写真を見せたらしいよ」
「なんも話さなかったけど、サエのマンションも知っていたわ」
「その男なら店にも来たよ」
「そんな話初めて聞いた」
「だって顔を合わせたらセックスになるもん。動物並みよ」
フミコがくすくす笑っている。
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