流れる 3

 久しぶりに朝方までサエを抱いた。今日はやたらとサエが求めてくる。

「サエを抱いたな」

 姉さんがうとうとしている私を見て言う。

「でも仕方ないな。あんな可愛い子と同じ部屋で寝ていてやらないなんて病気だものね?でも一度だけ私に抱かせてくれないかな。私だったら子供できないから安心よ」

と本気の眼で言うのを聞きながら、空港の近くの班場に車で乗り付ける。

「番頭は?」

「今日もずる休みですわ」

 年配の現場監督がプレハブの事務所に案内する。欠けた湯呑にお茶を入れてくれる。

「休みは家に帰ってないの?」

「追い出された話してましたで。それからここ毎日あそこの飯屋のおばはんところに転がり込んでいますわ」

 私がロッカーの中の帳簿を見ていく。前貸し用の手元資金が使い込まれてだけではなく、賃金の中抜きもしているようだ。

「これは酷いですよ」

「番頭に会いましょう。今からでもその飯屋開いている?」

「気いつけた方がええでっせ。夜は2階で賭場開ているからなあ」

「イサム髭残してた方が迫力あったのにねえ」

 殴り合いになったらきっと姉さんの方が強いだろう。

「わしが適当な頃若いのん連れて覗きますわ」

 そう言われて薄暗くなった外に出る。細い道が続いていてちょっとした工事関係者の飲み屋街ができている。二階建ての木造が見えて、漁師町らしくなくバーというネオンが点いている。









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