新しい一歩 4

 今日は事務所の前でサエと待ち合わせをしている。サエは朝から新しい店のリフォームの打ち合わせを済ませてると言う。昨日10日早く契約を終えた。

「えらい別嬪がいてるで」

と親分が笑いながら、

「帰れ!」

と言う。

 珍しくサエがジーパンに無地のセーターを着ている。

「高校生みたいやな」

「化粧せんから」

 今夜はボンと彼女と4人で飲むことになっている、ボンが飛田新地で得意先の小料理屋を予約してくれている。店に着くともう2人は来ている。

「フミコ言います」

 サエのねいさんの様な感じだ。でも何となく気が合いそうだ。新たらしい店の話をサエが散々してビールを飲んだ。何やら女同士でくすくす話している。いつの間のか9時になっている。清算をして後から店を出る。

「何彼女と話してた?」

「ボンとやったかって聞いたの?」

「大胆な奴やな」

「ボン奥手やから。まだ言うとった。うちらはもうやったで言うた」

 何だか嬉しい気持ちになって聞いた。

「パソコン使ったことがある?」

「いや分からへん」

「押し入れに中古あるんや。これで仲間とやり取りしている。明日触ってみる?」






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