第15話 黒鞄 7

 最近うなされるような夢を見ていた。朝起きると股間がねっとりしている。

 サエが起きるまでに下でモーニングを食べてそのまま三角公園に出かける。最近は姉さんとは別のトラックにも乗る。集金はまだ姉さんと一緒だ。ずいぶん要領もよくなって昼は40分ほど休める。今日は食事後取り立てに行くと言う。

「イサムは黙って立ってればいいよ」

 そう言われて組事務所のドア越しに立っている。

「組長は?」

「外に出てます」

 チンピラがだらしなくソファにもたれて言う。

「車も、靴もある。手間取らさんでなあ。2階やろ上がるで」

 奥の階段を上っていく。私も恐る恐る後ろを付いていく。

 窓を閉め切った部屋にライトが眩しい。男優が縄で吊るした全裸の女の口に自分のものを押し切んでいる。

「もっと押し込むんだ!」

 ゲロを吐くシーンをアップしている。続いて前の穴に挿入する。サングラスをかけたカメラマン自身が横の女にカメラを渡して女の後ろの穴に突っ込む。周りに客が10人ほど取り巻いている。女はあの黒髪の女だ。視線が合う。

「ここまでや!」

 40歳すぎの組長が立ち上がる。

「お前も下で待とれや仕事場やぞ!」

と言いながら手提げ鞄から100万束を出している。

「時間をかけないでよ!」

 集金を終えると全く動じることなく外に出る。

「イサム、ちんぽ立ってるで」

 ズボンの上からぽんと叩かれる。









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