異世界転移やと思ったら北九州転移やったけん

ぷいゔぃとん

第1話 北九州はヤバイばい

「ひゃっほ〜〜〜〜!!コイツ、ヤバイば〜〜い!!一体誰の許可を取って、ここにお布団引いて寝とんやか〜〜!?なぁ、アニキ〜〜!」


「お嬢ちゃ〜〜ん、こんな舐めたことしたらどうなるから知らんばい!」


「どうしますか、アニキ!?」


「よし、不発弾を掘り起こせ〜〜!」


「へい、アニキ!」


 私は東京の高校に通っているごく普通の女子高生。愛野あいの あかり、趣味はファンタジー小説を読むこと。


 そんなある日、目覚めた私は荒野の真ん中にいた。


 更に、何故か昨夜寝ていたお布団と共に私は今ここにいる。


 ああ、これが噂の異世界転移っていう奴だ。ファンタジー好きの私は、ちょっぴり胸が高鳴る。


 だけど、私のお布団を囲んでいたのはモヒカンの男二人。世紀末を思わせる姿をしている。


 はぁ、でも異世界転移としても、初っ端から命の危機が訪れているとは何だかなぁ。


「アニキ〜〜!不発弾掘り起こしましたばい!」


「よ〜〜し、それでそのお嬢ちゃんを爆破してやるばい!」


「へい、アニキ〜〜!」


 やばい、マジで死ぬんじゃない?私は布団から飛び出し、パジャマ姿のまま死に物狂いで走り出した。


 ※ ※ ※ ※ ※


 あー。なんとか逃げ出した。それにしてもここはちょっと変わった世界だ。どうせならもっと平和な世界が良かったし、もし、このまま元の世界に戻れないのなら、家族は、友人は…


 もう会えないのかな?


 そんな心配も多少はある。また、元の世界に戻る為に、取り敢えずこの状況を何とかしないと。


 私はしばらく歩くと、折尾おりおと言う場所に辿り着いた。折尾…?どこかで聞いたことがある。


 あ、そう言えばテレビで見たな。折尾駅のかしわ飯。北九州ではかなり有名な駅弁だ。


 ん、北九州?


 まさか、ここって北九州?


 でも北九州ってこんな世紀末みたいな所なのか?


 確かに物騒な事件は、しばしニュースで耳にする所ではあるが。


 さあ、落ち着いた所で、辺りを見回してみよう。


 皆、男はモヒカンで、上半身が裸だ。これが北九州の現状なのか。都会の私からしたら、かなりのカルチャーショックだった。


「ねえ、君、北九州の人間じゃないやろ?」


 突然、背後から声をかけられ、体がビクッとなった。振り返るとそこには一人の少年が立っていた。私と同い年ぐらいか?


「もしかして、君…今年の聖人式の生け贄なんじゃ…」


 ほう、私が生け贄。


「もし、北九州の人間じゃないってバレたらヤバイばい!僕について来て!」


 この少年は信用できそうだし、ここは素直に従おう。


 というか、やっぱりここは異世界じゃなくて北九州だったんだ。北九州って怖いところだったんだな。

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