本の中の君は

椛葉優月

【プロローグ】 星に願いを

 あるところに一人の少女がいました。

 格好もみすぼらしい彼女は本が好きでした。

 本。それは彼女の世界を広げてくれる唯一のアイテムだったのです。


 そんなある日、彼女は月を眺めながら呟きました。

「わたしも物語を作りたい」

 少女は本を自分でも書いてみたくなったのでした。

 しかし、親に言っても本を書くことは許されませんでした。

 落胆した彼女は寝床に入り泣きながら呟きました。

「いつか絶対、物語を作ってやる」

 外に目をやると、星が流れた気がしました。

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