ウィンター・パラダイス

勝利だギューちゃん

第1話  精霊

冬・・・

寒くて当たり前の、季節。

でも、ここのところ地球温暖化のせいか、暖冬と問題視されている。


寒ければ寒いで悪く言われ、温かければ、暖冬と問題視される。

冬は気の毒な季節だ。


俺が冬なら、声を大にして叫びたい!

「どうしろというんだ!」


「ほんとよね」

えっ、今女の子の声がしたが・・・


「気のせいか・・・」

「どこ見てるの?君の上」

「上?」

「そう見てごらん」

俺は見上げる。


女の子が、木の枝の逆さに座っていた。

髪はかなり長い。


根元近くまである。


「よっ」

女の子は1回転して、着地した。


「100点」

俺は思わず拍手する。

「ありがとう」

女の子は、笑顔で答える。


冬だと言うのにかなり薄着だ。

(寒くないのかな)


「私、ダイヤ、よろしくね。君は?」

「俺は、冬樹・・・桂木冬樹」

「よろしくね、冬樹」

差し出された手を握る。


「冷たい」

そう、その手はとても冷たかった。


「手の冷たい人は、心が温かいっていうでしょ?」

「確かに言うけど、人間の体温じゃないよ」

「だって、私人間じゃないもん」

「人間じゃないって?」

何者だ?まさかオバケだなんて言うんじゃないだろうな・・・


「オバケなんて心外ね。私は精霊よ」

「精霊?」

「そう、冬の精霊、ダイヤ、よろしくね。冬樹」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る