第6話

ハジメとローグの2人は学校にパーティ申請を出しにいった。


受付「ハジメ様とローグ様、申請が受理されました。今から討伐依頼をお受けしますか?」

ローグ「はい。Sクラスの討伐依頼を受けたいんですが。」


ローグがそう言うと、受付の人が3枚の依頼書を出してきた。

1枚目 モルダン高原 魔物討伐

2枚目 グラム火山 魔物討伐

3枚目 ヒューズ海岸 魔物討伐


どれもここら辺とは比べものにならないくらい魔物のレベルが高く、圧倒的に数が多いところだった。

「さすがSクラスの討伐依頼だな」とハジメは思った。


ローグは迷わず、モルダン高原の依頼を手に取り、ハジメに「これでいいか?」と聞くとハジメは「うん」と即答えた。というのも3枚の中で1番近いのがモルダン高原だったからだ。


2人は討伐依頼を受け、モルダン高原まで引率してくれる先生が付いた。先生が付くのは万が一生徒に何かあっては困るからだ。

2人の引率に付くのはモネ=シンクリード

ハジメの実技試験の試験管だった。


モネ「私がモルダン高原まで引率します。あれ?君は確か........魔法が放てないって言ってた子?」

ハジメ「はい。今日はよろしくお願いします。」


モネは「大丈夫かしら?」と思ったが、一緒に討伐するのが、あのローグだと分かり少し安心した。

3人は早速モルダン高原に向かった。


ハジメ「ここがモルダン高原か。」


そこにはおびただしい数の魔物がいた。

「魔物がいなければ綺麗なところだろうな。」と思うハジメであった。


ローグ「それじゃあハジメ、どっちが多く討伐できるか勝負しようぜ!」


ハジメはローグの誘いに乗った。2人は同じタイミングで魔物を討伐していった。


1体2体と、どんどん魔物が討伐される姿を見てモネは「ん?ローグの方はわかるけど、ハジメの方は………ん?」と不思議に思っていた。


魔物を1対1対討伐していったローグだったが、あまりの多さに 「これじゃあキリがねー」と思い、一気に大半を片付けることにした。


「炎天下」


この魔法は自分の周囲半径30m〜50mをすべてを焼き尽くす火属性上級魔法で、ローグが放つそれは威力、範囲が桁違いなのでモルダン高原が火の海と化した。


モネは遠く離れた丘の上にいたので巻き添い食うことはなかったが、近くにいたハジメは普通に考えれば無事では済まないだろう。「お願いだから無事でいて。」とモネは思っていた。がそんな心配は無用だった。ハジメは無傷だったのだ。


「な、なんで⁉︎」

モネは驚きが隠せなかった。ローグの魔法の“炎天下”の威力にも驚いたが、身体強化魔法をしてるだけのハジメが無傷ということはモネの常識からしたらありえないことだった。


ローグもハジメが無傷には少し驚いていた。

「ハジメが焦げてたら回復魔法で治せばいい」と思っていたからだ。


ハジメの身体強化魔法は今では、音速を超えるほどの速さで移動ができ、防御力は魔法障壁(自身の周りにバリアを張る魔法。魔法、物理攻撃を防ぐことができる。)の50倍の硬さだ。ちなみに、ローグの魔法障壁は通常の20倍くらいである。

そして、攻撃力は剣一振りで大海を両断することができるほどだ。


まったくの規格外なのである。


そんな2人が驚いてることを知らないハジメは、ローグの“炎天下”で魔物が消し炭になってしまったので、ローグとの「討伐勝負に負けた」と思いしょんぼりしていた。


ローグの魔法の影響でモルダン高原が砂丘と化した。モネはボーとしているとある事を思い出した。


モネ「そういえば、モルダン高原は災害級の魔物が何体かいたはずなのにこんなにあっさり討伐し終えるなんて………。」


通常、Sクラスの依頼は何日もかけてやらないと終わらない内容の依頼だが、1日で終わるのは前代未聞のことであった。


ローグ「討伐し終えたし、帰ろうぜ!」

ハジメ「そうだね。」


そう言って3人は合流し帰ろうとした時、


グゥルガァァア


突如大きな雄叫びが聞こえた。振り向くとそこには、2体のモンスターがいた。


モネ「⁉︎あれは........サンドタイガー!!」


砂で出来た虎で物理攻撃が効かないとされている“天災級”の魔物である。


“天災級”とは災害級より上位の魔物のことで1体で一国を半壊させることができると言われている。

ちなみに魔物の強さは以下の通りに決めつけられている。


災害級 ・・・村を全壊できる

天災級・・・一国を半壊できる

大殺界級・・・絶対に相手にしてはならない。



天災級の魔物が同時に2体も出現するのはごく稀である。

この状況で、モネは「もうだめだ。」と思っていた。が、ハジメと、ローグの2人はヤル気満々だった。


ガァァァア!


サンドタイガー達が突っ込んできた!サンドタイガーの影響で砂嵐が発生している中、ハジメとローグはそれをうまく躱した。ハジメが1体のサンドタイガーを切ったが、すぐ再生してしまう。今度はもう1体のサンドタイガーが攻撃してきた!前足を力強く地面に叩きつけると砂の波が発生し、ハジメ達に襲いかかる。


ローグ「ハジメ!お前は引っ込んでろ!俺がやる!」


確かに物理攻撃が効かない以上ハジメができることはなかった。けど、ハジメは引く気はないらしい。そんなことは余所目にローグは魔法を放った。


「暴風乱舞」


風の上級魔法で、巨大な竜巻をいくつも発生させる魔法だが、ローグが使えばその規模は計り知れない。まるで超大型の台風がいくつも発生し、この辺りにだけ直撃しているようだ。


砂の波ごとサンドタイガーを掻き消した。だが、魔法は食らうらしくサンドタイガー討伐に成功した。


ローグ「討伐完了!2人とも飛ばされてないか?」


モネ「大丈夫。」


ハジメ「こっちも平気だよ」


2人の無事を確認したので今度こそ帰ろうとした時! 砂が1箇所集まっている事に気付いたローグ。


ローグ「また来るぞ!」


ガァルァア


サンドタイガー1体が復活した。しかもさっきよりひと回り大きくなっていた。

すると、ハジメが「俺にやらせてくれ!」というのでローグは「好きにしろ。」と答えた。モネは「無理だよ!無理無理」と激しく反対していたが、そんなことは御構い無しにサンドタイガーが襲いかかってきた。


ローグが「ハジメ、お前はどうやってこいつを倒す気なんだ?」と思っていると、ハジメが剣に風を纏わせている。モネは「⁉︎魔法を纏わせることができるなんて........これなら倒せる!」と思っていたが、ローグは「いや、あれじゃ倒せない。あれを斬りつけたとしても再生されるだけだ!」


モネ「じゃあローグが倒してよー」


そんな2人の会話など耳に入らず、ハジメはただ風を纏わせる事に集中していた。やがて剣に纏われている風は大きくなり剣が竜巻を帯びてるような状態になった。


モネ「あれなら倒せるんじゃ....」

ローグ「いや、さっきのサンドタイガーなら倒せただろうけど、これだけデカイと難しいだろう。剣圧の威力が高いなら話は別だけど........」


2人は知らない。ハジメは大海をも両断できる剣圧の持ち主であることを。


グォォアァァ!


サンドタイガーが待ってられんとばかりに攻撃を仕掛けてくる。足をバタバタさせると巨大な蟻地獄が発生した。


ハジメは身体強化で一気に空中に飛んだ。ローグは魔法障壁を発動させていたので無事だが、モネは蟻地獄の餌食になっていた。


モネは「たすけてーー!」


ローグは「やれやれ」と思いながらモネを助けに行った。その間にハジメはサンドタイガー目掛けて剣を思っいっきり振り下ろす。


その瞬間、激しい突風が起こり、サンドタイガーは消し飛んでいた。ローグの“暴風乱舞”

あるいはそれ以上の風圧がサンドタイガーを襲ったのだ。もう復活することはないだろう。これで本当にモルダン高原討伐は完了した。モネ、そしてローグもこれにはさすがに驚いていた。ローグは「ハジメの心配は今後しなくてもいいな」と思った。3人はというかモネは無事帰還することができた。


今日の出来事が自分の常識を超え過ぎていてモネの許容量をはるかに超えていた。

その後、3日間寝込んだという。

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