第24話 総選挙

 ここは渋谷の宮下公園。

「私たちの出番が少なすぎる! ワン。」

「自分たちの出番は自分たちでゲットする! ニャア。」

「宇宙防衛隊プラネット兄弟? 8人も新キャラ出すのは反則だ! ちゅん。」

「アホ~、アホ~。エルメス、ルイヴィトン、アホ~、アホ~。」

「zzz。ほうほう。」

 魔法少女エルメスとルイヴィトンの使い魔たちである。親睦会を通じご主人様には困ったものという共通の悩み事から親しくなり、愚痴を言いあっている。

「どうして渋谷にミスタードーナツはないのかな? ワン。」

「GUもない。ニャア。」

「外人しかいないよね。ちゅん。」

「アホ~、アホ~、日本人のアホ~、アホ~。」

「zzz。ほうほう。」

 5匹は世間話もする。

「どうすれば私たちの出番が増え、存在感がアップするかを考えよう! ワン。」

「定番は人気投票でいいんじゃないですか? ニャア。」

「そうだ! 総選挙しよう! 投票は渋谷の人々で、恵んでください方式で投票してもらおう。ちゅん。」

「アホ~、アホ~、おまえらアホ~、アホ~。」

「zzz。ほうほう。」

 こうして渋谷のスクランブル交差点に5匹は立ち、「お願いします! 清き一票を!」道行く人々に投票してもらった。人々は日本の新しいAIロボット、ぬいぐるみと思ったみたいだった。

「さあ! 開票するぞ! ワン。」

 宮下公園に帰って来た5匹は投票を開票していった。

「それでは発表します。ニャア。」

 開票が終わり集計が終わった。

「第4位から。ちゅんちゅん。」

 1位と5位を残すのはお約束である。

「第4位、ホログラム。アホ~、アホ~、」

「やったー! 最下位じゃない! 良かった。投票してくれた方々ありがとうございます。ちゅん。」

 あんまり良い順位では無いが、自分より下がいると思うと気が楽である。

「投票した人の意見は「小鳥なのか、雀なのか分からない。」だそうよ。ニャア。」

 きれいな小鳥か、エンターテイメント性のある雀か悩む所である。

「続いて、第3位。ですが、2位と3位が同数です。ワン。」

「おお!? ニャア。」

「では、2位の二人を発表します。ちゅんちゅん。」

 ちょっと文字がカオスしてきた。

「第2位の二人は、ケーリーとバーキン。アホ~、アホ~。」

「仲良く同数ですね。同じ順位で良かったですね。ワン。」

「そうですね。ケンカしなくて良かったです。ニャア。」

 ケーリーとバーキンは仲良しである。

「投票した人の意見は「鳴き声を語尾に着けないと、どっちがどっちなのか分からない。」ですって。ちゅん。」

 個性のないカワイイ犬と猫である。

「待てよ? ということは1位は!? ワン。」

「アホ~ガラスか、寝てるだけのフクロウということになる!? ニャア。」

 その通り。残っているのは、カラスのヴェルニとフクロウのダミエとの2匹ということになる。

「発表します! 第1位は・・・アホ~ガラスのヴェルニ! ちゅん。」

「アホ~、アホ~、アホガトウ~。アホ~、アホ~。」

 第1位はカラスのヴェルニだった。

「そんあバカな!? ワン。」

「アホ~しか言ってない奴に負けた!? ニャア。」

 ケーリーとバーキンは放心状態であった。

「投票した人の意見「寝ているだけで勝つは、よく使われるネタだから。」だそうよ。ちゅん。」

 こうして第1回魔法少女の使い魔のぬいぐるみ総選挙は終わった。

「zzz。ほうほう。」

 第5位のフクロウのダミエは寝ているだけでランキングには興味がなかった。


つづく。

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