第5話 奴隷、売ります。後編
準備とはいえ檻を馬車から降ろして奴隷を置く場所を作るだけだ。
布を敷いて木の看板に奴隷と書けばいいだけの簡単なお仕事です。
しっかり売れた際の為に三人から一本ずつ髪の毛を引き抜いて服のポケットに突っ込む。DNAを採取しておけば複製が可能なのだ。
そして複製したエルフを売って、また作る。これを繰り返すことによりビジネスが完成する。顔と体格を少しいじれば被ることもないため破綻の心配もない。
これを俺はクローンビジネスと名付けた。
…まぁ、作ろうと思えば通貨も作れるのだが稼げるものは稼いでおくものだと思うのだ。決して違っているとも思えない。
逆にこれをやりまくることにより、エルフの里からの誘拐件数が低くなる。売りまくるから需要がなくなるであろうからだ。
エルフの被害減少と俺の収入源二つの目的が達成できる。
これこそ一石二鳥である。
奴隷を並び終えると人が集まってきた。勿論のこと男性貴族らしき人物が多い。
スズナは俺のそばで待機している。相変わらずの無表情でなんか刺してきそうで怖い。いや、絶対にないけど。
今回の取引の形式はオークション形式を採用した。高額の値段を狙える可能性があるからだ。
金を出す側も集団心理でどんどん金を出そうとするだろうからな。
いや~我ながらホント下衆だな。あ、そうそう。エルフの美力を調べたら23~26あたりをさまよっていたよ。
この人だかりは繁盛間違いなしだ。
さ、オークション開始といこうか。
俺が前に出ると集まっている人々が余計騒がしくなる。
ここは俺の声の張り上げ時だな。最後に声を張り上げたのって中学二年ぐらいだったか。
そんなに昔ではないし、三年経った今でもできるはずだ。
「皆さん!静粛にお願いします!!」
すると、あたりに静寂が訪れた。
さすが貴族たちだ、マナーをわきまえている。
目の輝きは一層輝いているがな。それより声が裏返らなくてよかった。
公衆の面前で裏返りとか勘弁してほしいからな。
「今から、このエルフ奴隷三つのオークションを始めます。一番左の見た目が幼い奴隷から始めます。初期金額は白金貨2枚からです。では、始め!!」
すると嵐のようにかつ的確に値段が上がってく。
一人目は白金貨95枚で売れた。
こんな感じで二人目は65枚、三人目は100枚で売れた。ぼろ儲けである。
しかしトラブルも生じた。
客の一人(見るからにボンボンのデブ)がスズナを売れと申すのだ。
彼女の美力は30だ、人型族では最高値だ。
そんな奴隷を見たらだれだって喉から手が出るほど欲しくなるだろう。
白金貨400枚も出すとは言っているが残念だったな。
スズナは俺の眷属兼従者兼最高傑作の生物作品なのだよ。
ここはお引き取り願おう。
話が通じなさそうだが一応下からでてみる。
つけあがる確率100%だがな。
「すみませんお客様、彼女は私の従者でして手放すわけにはいかないのですよ」
するとボンはどや顔になる。
「だから400枚も積んだのだ、文句はなかろう。おいそこのエルフを屋敷に運べ。」
ボンが発言すると配下であろうものが400枚入った袋を俺の前にドスンと投げ捨て、
スズナを連れて行こうとする。
これは何を言っても無駄だと感じた俺は、配下の腕をつかむ。
「いけませんねぇ。こちとら勝手に動かれるのは困るんですよ。
もう一度言いますが彼女は私の大切なさくh…従者なのでね。さっさとお引き取り願います」
つい作品と言いかけ、言葉遣いもおかしくなってしまった。
俺は独占欲の強い人でね。触られるだけで堪忍袋の緒が切れそうなのだよ。
配下に400枚袋を押し付けて撤収の準備を始める。
自らお引き取りする謙虚の鏡やで。
10秒で準備が完了し、ボンを見ると茹蛸の様に赤くなっていた。
それを無視するように去ろうとすると、ボンが一言
「おまえ…この街で好き勝手出来るとは思うなよ…!!この俺に逆らった罪は絶対にさばいてやるからな」
あまり内容は聞いていなかったがなんかイラついたのである程度離れてからきれいな華にしておいた。
醜いボンを美しい花にしてあげる俺はなんて優しいのだろう。
あまりの美しさに市場が騒がしくなったようだ。
そんなことより宿屋に泊まらなくてはならないな。もうじき夕方だし。
しかし、さっきからスズナの様子がおかしい。
なんか歩きがふらついている気がする。これは早く宿に泊まらないとなおさらやばいな。
原因を早急に突き止めてメンテナンス兼休憩させてやらないと。
「アード亭ってどこにあったっけ?」
世界の記憶を頼りにスズナを無理させない程度に急ぐのだった。
そういや石貨って持ってないな。仕方ない、創造しておこう。
――――石貨10枚を創造しました――――
これで良しっと。
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