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それからあとのことを、まりもはあまりよく覚えていなかった。
ただ、気がつくとまりもは真っ白な病院の中にいた。
それは朝顔と紫陽花と、……それから、川の中に流された秋葉小道さんが入院をしている病院だった。
朝顔と紫陽花は一命を取り留めた。
お医者さんの話だと、もちろんその行為自体は褒められた行為ではないけれど、もし小道さんとまりもが川に飛び込んで二人をすぐに川岸にまで、送り届けていなかったら、二人の命はおそらく助からなかっただろう、ということだった。
まりもは警察のかたに怒られたり、それから褒められたりして、そして木ノ芽さん夫妻からすごく丁寧なお礼を言われた。
まりもはとにかく、朝顔と紫陽花が助かってよかったと思った。
本当にただそれだけであとのことは、別になにも気にしていないと木ノ芽さん夫妻に言った。
まりも自身も一日だけその病院に入院した。
そして、次の日、退院をしたまりもは、その足で、そのまま小道さんが入院している病院の病室を訪れた。
とんとん、とまりもは病室のドアをノックした。
すると「はい」と部屋の中から声が聞こえた。
それは小道さんの声だった。
まりもが病室の中に入ると、そこには真っ白な病室の中にある、真っ白なベットの上にいる、真っ白な入院服を着て、窓を開けて、そこから入ってくる風に気持ちよさそうに目を細めている、頭に包帯を巻いた、秋葉小道さんがいた。
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