涼しいな

 涼しいな

 季節によるものか気分によるものか

 わからないくらいに


 涼しいな

 記憶に風が吹き抜ける今夜

 わたしは涼しさを讃美したかった


 涼しさ

 それは人柄や詩にさえも感じることのある余白

 謙虚な美徳だ

 泣き止んだ後のような静けさ

 寝息のようなそよ風


 涼しいな

 夜の底は

 喪失の波は

 うらぶれた月明りは

 涼しかった

 今夜の記憶は

 涼しくあってほしかった程度に

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