わたしの加害

 わたしの加害

 いくつも思い浮かぶ

 わたしがもっとも素直に幸福を感じていたのは子どもの頃だとは思うが

 そこにはふんだんに加害の記憶が詰め込まれている

 子どもっぽいいたずら、か?

 子どもっぽい悪口、か?

 自分が自分であるかぎり、子どもだからという免罪はあまり機能してくれない

 内側から眺めるからだ

 ルッキズム、ミソジニー、シニシズム、臆面もなく差別的思考にとらわれた子どものわたしの醜い言動

 加害者は忘れっぽいものだとよく言われる

 そのとおりだと思う

 わたしに思い出せるかぎりのわたしの加害

 その数十倍あったであろうわたしの加害

 忌々しい

 わたしは幸福な子どもだった

 そして、有害だった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る