わたしと空気

 わたしと空気に摩擦が生じて

 火花のように

 言葉が生まれる

 望んでもいないのに


 空気のなかを

 人々は容易く歩く

 隣の芝生は青く見えるという

 そういった類いの事柄だろうか


 わたしはいちいち

 空気にぶつかる

 硝子に気づかず直進したかのように

 恥ずかしいほど衝突する


 わたしは空気が怖かった

 わたしを取り巻くすべてが

 敵対的な季節のように

 いばらを巡らして待ち受けるようで


 わたしと空気

 その摩擦

 火花のようではなく血のように

 望んでもいない言葉が飛び散って

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る