視線は暴力だから

 視線は暴力だから

 できればだれも見たくはなかった

 眼は

 刃物のように取り扱いに注意を要する

 見られたくない人への

 見られたくなさへの共感の視線は

 感情を裏切るように当人を傷つける

 見られたくなさの極限は死に近づく

 視線の地獄に加担したくはない

 空でも海でも幻でもいいから

 人ではないものを見ていたかった

 視線が傷つけるものであるかぎり

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