記憶に残る光景は選べない

 住宅街の隅っこで

 夜明けの空を見たときの

 気まぐれの極致の短い散歩が

 何年経っても忘れない朝とは

 思わなかったな

 わからなかったな

 静かで淡くて綺麗で寂しくて


 土手の上から見下ろした

 夕暮れに染まった子どもたちの

 遊びの延長のような呼びかけが

 何年経っても忘れない声とは

 思わなかったな

 わからなかったな

 脆くて儚くて透明で懐かしくて


 記憶に残る光景は選べない

 それは世界に属する賜物

 いずれ返すことになるさかずき

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