わたしの冷たさ

 わたしの冷たさは外在化された秩序だ

 つまりわたしに属していない

 わたしはわたしを根拠とせずに他人に対してかぎりなく冷たくなれる

 それは内面化された距離の思想だ

 わたしはその距離を肯定も否定もせず眺めている

 わたしがわたしを差別するとき

 自分を虫けらのように遠く小さくなみするとき

 わたしは矮小化された聖痕のように過去の痛みに意味を与えている

 それは不都合な贖罪だ

 よこしまな専横だ

 わたしの冷たさをわたしが独占するとき

 結晶と化した意志のとがりがわたしの裏側からわたしを引っかくのを感じる

 流れた血の行方すら知らないままに

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