執着の鬼

 たまぎるような執着が

 螺旋のように続いている

 終わりの見えないこの執着

 幻を見ているとわかっているのに

 その幻を振り払えない

 ひとりの人間に執着するにも

 限界というものがあるだろうに

 節度というものがあるだろうに

 こころは少しもわきまえたがらない

 おのれが消えても執着は残る

 未練で空間が歪んでいる

 望みない糸へのぶら下がり

 闇のなかで

 出口の幻が手を振っている

 爪の割れている執着の鬼が

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