嘘の紅葉

 嘘は流れ

 流れるように流れ

 木の葉みたいに

 虫食いのまま積もって


 嘘をついたことのない人間

 いない

 赤子の頃についた嘘

 おぼえているだろ


 秋の紅葉

 木枯らしの夕べ

 夜は実在しないと

 告白の代わりについた嘘


 流れ流れ

 嘘が流れ

 せせらぎに罪を感じたら

 自然までもがおまえを受け入れないなら


 神のついた嘘

 箇条書きにして

 いまもとってある

 丸文字の斬奸状ざんかんじょう


 それでもいまは秋で

 秋の記憶はいつも静かで


 四季を知らない子どもが

 思わず振り返って目を見張るほど

 嘘の大樹たいじゅ

 紅く色づいて

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