凡死

 平凡な死体になることを夢みて

 平凡な死に様を幻視する

 凡死

 だがそれは異常

 全き異常

 凡庸を死は許容しない

 死は異常

 ありふれた死はありふれた異常

 およそ平凡なものではない

 死は異常

 それはひとつの哀しい事実

 だれも平凡には死なないということ

 だれもが異常に呑み込まれて死ぬということ

 だれも他者の死を凡庸などと断ずる権利はないということ

 だれもありふれた死だから哀しまなくていいなどと自らの怠惰を正当化していい理由はないということ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る