四月の雪

 四月に雪が降ることについて

 歌った歌を聴いていると

 いまが四月であることとか

 歌った人が死んだこととか

 いろいろなことを思い出す

 知っていることや憶えていることも

 思い出すことをやめてしまうと

 記憶から離れてしまう気がする

 いまが四月であることは知っている

 でも思い出さなかった

 その人が死んだことは知っている

 でも思い出さなかった

 四月に雪が降ることについて

 歌った歌を聴いていて

 知っているはずだったこと

 憶えているはずだったこと

 降っていたはずの雪のように

 記憶から溶けたくさぐさの想い

 いろいろなことを思い出す

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