夕暮れ、記憶

 窓から差し込む夕暮れの光

 頭上に広がる夕暮れの空

 無邪気に笑い合う夕暮れの子どもたち

 死にたくなるほどこころが折れた夕暮れの涙

 自転車の車輪がまわる音

 遠くから聞こえる他人の声

 飛んでいる鴉の無言

 すべて自分から切り離されていた

 自分は急速に終わっていた

 風景が自分を拒絶していた

 存在している価値がなかった

 それでも帰らなければならなかった

 どこかに帰らなければならなかった

 消えたくなるような夕暮れだった

 夕暮れは

 記憶にとりどりの層を重ねている

 おおくは哀しみをまじえて

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