時計の針の影

 時計の針を

 見ていた

 針が盤面に投げかける

 細い影を


 斜めから時計を眺めると

 針の影は

 少し遅れていた

 影は

 過去に属しているのだ

 振り返ると

 一歩遅れて


 影は現在にいつも間に合わない


 針がまわって

 角度がかわり

 今度は影が

 先んじているように見えた

 予知のような

 暗い影


 影は現在よりも先に死ぬ


 ぼくは

 自分が影のようにしか

 感じられない時がある


 時計の針を

 見ていた

 長くも短くもない寿命を

 削りながら

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