残像がそこかしこ

 残像が

 そこかしこに散らばっている


 公園のベンチで

 空を眺めた

 人を待っていた

 胸が高鳴っていた

 恋しかった


 人の家の門前で

 たむろして話した

 門柱に寄りかかった

 焚き火を囲む群れみたいだった

 快晴の初夏だった


 緩い坂道で

 二人きり歩いた

 雨上がりだった

 傘をくるくるとまわした

 水のつぶてが綺麗だった


 本屋の片隅で

 秘密めかして語らった

 好きな詩集を指差した

 趣味の一致に微笑んだ

 埋まらない距離を錯覚した


 残像が

 空の下

 街上に

 そこかしこ

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