鼻血を見ながら思った

 鼻血で顔の下半分が

 真っ赤に染まっていた

 それを見て思った

 血は一瞬だけ綺麗だと

 ティッシュを渡してあげながら

 なおも思った

 血はわれわれの内実だと

 鼻血を拭われた顔を見ながら

 なおも思った

 血の痕跡は消せないのだと

 拭ったはずの血は

 どこかに必ずこびりついている

 よって

 死の隠蔽は

 必ず破綻する

 そうであってほしい

 隠された血は痛ましいから

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