痛みと殺意

 殺人鬼を語り手にしたアメリカの小説を読んでいて

 その行為自体にはまったく共感できないし

 バカバカしいくらいに突き放されて描かれてもいたが

 私には常に鋭い痛みがある

 その痛みが他人に振りかかればいいと思うくらいだ

 そう独白する瞬間には

 こころを動かすものがあった

 痛み

 それはだれもが抱えているのだろうか

 殺された人間も

 殺した人間も

 痛みに気づかない人間にも

 痛みは存在しているのだろうか

 そのことをどう考えれば

 痛みをどう名指せば

 殺意を和らげられるのだろう

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