風と声

 風が吹く

 鬼哭啾々

 亡魂の眠りが黄昏れる

 風軽軽

 哀しみ滔々

 たどたどしく怒り

 街が墓地になる

 人が薄れて灰になる

 こんなはずじゃなかった

 死者のうめき

 それは幻聴

 身を切るような幻聴

 風はたしかに吹いている

 声は

 風のようにたしかではない

 それは幻聴

 ゆずれない幻聴

 聞こえるかぎり

 魂を賭ける

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る