迷走

 迷走

 という状態に興味がある

 かつてあれほど明晰だった作家が

 なぜこうなったのだろう

 そんなやるせなさをたびたび感じる

 作家だけではない

 作品なんて残していなくても

 人は必ず迷走する

 その迷走は必然なのか

 避け得ないものなのか

 彼や彼女の失敗なのか

 時代が負わせた刑罰なのか

 本人は迷走をどれだけ自覚しているのか

 出口への希望はあるのだろうか

 霧が晴れたところで

 新たな迷いの始まりではないか

 他人の迷いを解いたところで

 自分の迷いに終わりはないが

 迷走

 という

 だれもに訪れるトンネルに

 深甚な興味がある

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