ピアニストごっこ

 アナクロな人間なので

 キーを打つよりも

 手書きの方が

 言葉に温もりが宿るのではないかと

 儚い望みを抱いてしまう

 実際にどうなのかはわからない

 ただ

 かすかにあった抵抗感は

 ピアノに擬することで薄められた


 ぼくはピアノを弾けないし

 楽器のことをなにも知らない

 だから単なるごっこ遊び

 キーを叩いて言葉をつむぐのは

 ピアノを弾いて音楽を奏でるのと

 近しい行為だと勝手に決めた

 ぼくがぼくのためにそう決めた


 手書きによる詩はアナログ音源

 タイピングによる詩はデジタル音源

 そんな風にもなぞらえる

 詩人きどりが

 ピアニストをきどる

 益体もない

 ごっこ遊び

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