乾く

 人の行き交う往来で

 身も世もなく泣き叫べば

 ぼくがどれだけ死にたがっているのか

 通りすぎる人たちは

 気づいてくれるかもしれないけれど

 通りすぎる死は

 気づいてくれないのかもしれない


 死が気づいてくれないなら

 泣く意味はない

 だからぼくには

 泣く理由がない

 だからぼくは

 泣かなくていい

 泣かず叫ばず死にきれず

 ただ乾く

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る