美しい詩、醜い詩

 自然を詠んだ

 とても美しい詩を書いた詩人が

 戦時中に書いた

 とても醜い詩

 読むと愕然としてしまう

 風雅をよそおった言葉遣いで

 殺せ

 とはっきり告げている

 聖なる国

 と恥知らずに告げている

 戦前、戦後に書かれた詩にさえ

 疑いの眼を向けざるをえない

 虐殺の行われた収容所では

 スピーカーから

 とても美しい音楽が流れていたという

 暴力

 美の皮をかぶった暴力

 殺戮

 詩の皮をかぶった殺戮


 平和な世界にあふれる美しさ

 時が変われば

 また醜くなるのか

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