不気味な泡
泡に触れた
不気味で奇妙な
時に残酷な
時に優しい
無量の想いを
血にまぎれさせる
見逃してしまいそうな
小さな泡
その泡は
他ならぬ自分に訪れてくれたのだ
痛みを映して
声を嗄らして
他ならぬ自分に届けてくれたのだ
報われなかった怒りを
救われなかった涙を
人間は死ぬ
なにも理解せず
だれも理解できないままに
それでも途中で終わった人たちの
遺志の残り火は
引き継がれることもあるだろう
泡のように儚い火でも
泡のように寂しい火でも
泡
不気味な泡
笑わない泡
街かどの泡
胸の奥底をよぎる泡
触れると死が透ける
触れると生が揺らぐ
なによりも大切な叫びの聴き手
案山子の臨終の見届け人
道化を傍観した狂言廻し
泡
不気味な泡
記憶に触れていつも痛む
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