時の止まった夕暮れの浜辺

 時の止まった夕暮れの浜辺で

 子どもたちの為す水遊び

 砂でこねあげられた塔は

 バベルのごとくに乱れている

 蟹の歩みは止まってしまった

 貝の傷みは見えなくなった

 たとえばそこにあなたがいて

 あなたの黒髪

 あなたの肢体

 時の止まった夕暮れの浜辺で

 あなたの黒眼が輝いていたら

 この世でもっとも美しい夕日より

 意志ある瞳を選ぶだろう

 時の止まった夕暮れの浜辺を

 眺めるあなたの二つの夜を

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る