隠された傷
傷を自慢げに見せびらかせば
違うだれかがひっそりと傷つく
ひっそりと
だれもがひっそりと傷ついている
痛みを隠すのが礼儀であり
規範でもあり抑圧でもあるから
そうして夜
ひとりで傷痕を眺めて
思いのほか深いことにおどろき
思いのほか死にたいことにおどろく
隠された傷は
いつまでもひっそりと残りつづけるだろう
なにがそれを治癒しえるのか
魂をもてあそぶやぶ医者は
けして信用できない
魂は医療を必要としているが
神は医療保険を創り損ねた
御手は傷痕に触れてくれない
死は
傷を無効化するだけで
癒してはくれない
それともそうではないのだろうか
死よりも優しい治癒者は
この世に望むべくもないのか
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます