仲違いした友達

 昔ひどい仕打ちをした友達と

 仲直りする夢をみた


 それはこころの片隅で

 ずっと引っかかっていることではあった

 あれほど親しかったはずなのに

 つまらないきっかけで仲違いし

 なぶるような

 せせら笑うような

 深傷を負わせるような攻撃を加えた

 自らにも傷を残すことになるとは

 そのときは気づきもしなかったけれど


 そののち和解することはなかった

 昨日の友は今日の敵だった

 まともに言葉を交わすこともなく

 顔を合わせては無視しあって

 そのままお互いの人生から退場した


 ずいぶん昔の話なのに

 いまごろにそんな夢をみるとは

 不思議にも思えるし

 不思議ではない気もする

 人と人とは離れていくものだけど

 傷を残した別れの痛みは

 遠く過ぎ去ってくれはしない

 痛みに老いはないのだから


 十年以上も経ってから

 夢のなかで与えられた許しは

 ただの願望によるまやかしか

 記憶の整理の副産物か

 夢をみるまで

 そんなことは思い出すことも稀だったのに

 許しをどこかで求めていたのか

 彼はいまどんなふうに生きているのだろう

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