同じ夜はない

 十七歳の頃は

 無差別殺人のニュースを見ると

 “加害者と自分は同類だろうな”

 と

 勝手に理解したつもりになっていた

 いまは

 他人をそんなふうに

 簡単にわかった気になるのは

 間違いだったと思っている

 暗さは一様に暗いのではなく

 闇と闇にも隔たりはあり

 同じ夜などこの世にはない

 ただ

 同じ人間であることだけは確かだから

 殺さずには済ませられなかったのかと

 他人の遠さのまま

 みじめな気持ちになる

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