飲めなかったサイダー

 サイダーの泡が

 実存を問いかける

 生きるべきか死ぬべきか

 ハムレットのような顔の泡が

 矢継ぎ早に死んでいく


 サイダーの凪が

 静寂をもたらす

 しなばやと

 中世に吐き捨てた出家者のように

 澄んだ水面みなもで語りかける


 サイダーの眼差しが

 あまりにも無垢だったので

 ぼくはサイダーを飲めなかった

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