出口

 まわりには壁しか見えないし

 窓も扉もどこにもないし

 天井は落ちてきそうに思えるし

 床板は寝転ぶには冷たすぎるし

 だれも訪ねてきそうにないし

 どこにも出口はなさそうだし

 昼か夜かもわからないし

 自分の年齢も忘れたし

 名前はあっても呼ばれないし

 想い出はもはや痛みだけだし

 まだ死んでいるわけではないし

 生きていたいわけでもないし

 どこにも出口はなさそうだから

 たったひとつの出口は死

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