存在したくない

 前から思っていた

 存在したくないなって

 子どものころに

 なんで食べなきゃならないのかと

 泣きわめいたことがあったけれど

 食べたくなかったんじゃなくて

 存在したくなかったんだ

 いるだけで苦痛だったんだ

 わたしが存在しない場所に

 行きたいな

 だれもわたしが見えなくて

 だれもわたしにさわれない

 わたしのいない安らかな地平で

 わたしは眠り

 息をつき

 詩を読むように水を飲み

 ふとしたときに

 わたしの非存在を思い出す

 矛盾がわたしに追いつく頃

 わたしは悔いなく消えられるだろう

 猫をなでる手の

 残像だけ少しばかり残して

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