閉じた無限

 この本さえあればあとはいらない

 この曲さえあればあとはいらない

 そんな終点ともいえる作品を

 無駄とは知りつつ夢みてしまう

 こういう思考にはファシズムのにおいがする

 視野狭窄の偏狭さがただよう

 なのにどこかで求めてしまう

 そこにすべてがあるような

 いかなる感情にも照応し

 いかなる解釈にも堪えられる

 可能性の際限ない宝庫

 戻るたびに発見のある小宇宙

 魂の伴侶と見なせる作品

 いかなる作品も現実には敵わないと

 賢しらな忠告は聞こえているが

 現実があまりに嫌いになると

 閉じた無限が欲しくなる

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る