閉ざされた窓

 この世界にはいくつの窓があるのだろう

 夜明けが来て

 あちこちで窓が一斉に開かれる

 生活に呼び入れられる微風びふう

 パラレルワールドのように分岐していく風の通り道

 それでも風は迷わない

 訪ねるべき窓を知っている

 受け入れてくれる窓を知っている

 そしてこの世界には

 いくつの開かれない窓があるのだろう

 風の通らない死んだ窓

 永遠に鍵のかかったままの錆びついた窓

 またひとつ世界から窓が閉ざされる

 もう朝は来ないのだと言うかのように

 もう風に触れるのはごめんだと言うかのように

 その閉ざされてしまったおびただしい窓のことを思うと

 ぼくはとても寂しくなる

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