凶鳥

 今日も眠って起きた

 明日も眠って起きるだろう

 眠って起きなくなる日は

 いつやってくるのだろう


 眠って起きなくなった人を思い出す

 思い出されることでその人は目覚めることになるのだろうか

 せっかくの平安な眠りを乱すように

 思い出してしまうことは失礼に当たらないだろうか

 それでも思い出すことをやめられない

 眠れないときはことにそうだ


 記憶が耳ざわりな鶏鳴けいめいのように

 死者たちを眠りから揺り起こす

 小鳥のさえずりのように優しく黎明を告げることは

 黄泉路よみじ羽摶はばた凶鳥まがどりにはできない

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る