ハムレットの愛読書

 言葉、言葉、言葉

 そう吐き捨てたハムレットは

 実際のところ

 なにを読んでいたのだろう


 憂鬱な面差しをうつむけて

 文字を眼でたどりながら

 胡桃の中の世界で

 どんな夢を育んでいたのだろう


 彼の指先が支える

 書物の背

 彼の唇がつぶやく

 至純の詩


 劇の中の劇を

 ハムレットは見ることになる

 本の中の本を

 わたしたちは読むことになる

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