10月12日 -黒い日記-

上野は私の想像以上の孤児で溢れていた。


路上で横になっている子供のうち何人が死んでいたのだろう。


男子は靴磨きをして小銭を稼ぎ、青空市場と呼ばれていた闇市で盗んだものを売っていた。


向かいの家に住んでいる婦人を、薬を買いに行くと嘘をつき連れて行った。


私は婦人に、少しだけその場で待っているように言い、離れた。


適当な街娼に声を掛け、婦人を一日売った。


その金でくじらベーコンをいくつか買い、体を売っていた女子に渡すととても喜ばれた。


私を姉と呼ぶように言うと、少し困惑をしていたが彼女達は私を姉と呼んだ。


何日も風呂に入っていなかったようで、私は彼女達を風呂に連れていき入らせた。


私は彼女達が風呂に入っている間に、若い働き盛りの男を何人か外で見つけ、私の妹達だと言って彼女達を売った。


汚い体の孤児より、綺麗な体の女子の方が高く売れる。


私はその金で少女へのお土産を買った。


神奈川よりは活気のあるこの街の雰囲気を夜まで楽しみ、仕事終わりの婦人を迎えに行ってから帰ってきた。


薬で狂ってはいるが、見た目は綺麗で貞淑な雰囲気のある婦人は、寝た男達から裏で金と薬を貰ったようで嬉しそうだった。

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