第459話国際テロ集団のリーダー情報と分析

柳生事務所で国際テロ集団の情報分析をしていた松田スタッフが、極めて信憑性の高い情報を入手した。


「事情聴取した自衛隊員、警察官のメールの膨大な履歴から、特定の傾向と相手を発見しました」

「メール内容は、国際テロ集団のリーダーとの連絡、武器弾薬の情報、国家VIPの行動予定の送付」

「また、金銭の情報もあり、これはロードス島の秘密口座とも完全にリンクを確認済みです」

「分析を更に重ねると、国際テロ集団内部にも階層があります」

「トップの階層は4人」

「いずれも各国の退役軍人」

「フランス、トルコ、ロシア、リビア」


国際テロ集団の情報に詳しい潮崎師匠が難しい顔。

「そうなると、ほぼ、面子がわかった」

「戦闘力、つまり格闘力は、霧冬じいさんとか、俺クラス」

「つまり、相当強い」

「フランスは、ナイフの名手、投げるのも正確に急所に入るし、接近戦でも確実に臓腑をえぐる」

「トルコは、かつての世界最強のイニチェリを見るような巨漢、ひょいと掴んで頭蓋骨を握りつぶす」

「ロシアは、徒手格闘の達人、サンボ、空手、ボクシングなんでも世界チャンピオンクラス」

「リビアは、動きが実に速い、忍者のような武器も使う、つまり毒矢も」


柳生隆が尋ねた。

「潮崎師匠、その中でもリーダーは?」

「もう少し詳しく教えて欲しい」


潮崎師匠は即答。

「おそらくフランスのジャン、とにかく冷酷、冷静」

「人の血と涙を好む」

「息絶えた敵を執拗に切り刻んだり」

「それに目を背ける味方に冷たく言い放つ」

「俺に逆らえば、お前もこうしてやるとか」

「お前の次は、お前の家族も、そうなるとかで、脅す」


「NO2がおそらくロシアのボルコフ、彼も冷酷だけれど・・・」

「それから、人を騙すことや裏切りを何とも思っていない」

「戦場で敵に囲まれたら、まず自分の仲間を殺して、自分は投降」

「そして人質に囚われる中で、いつのまにか脱走してしまう」


「その次が、トルコのアラン」

「相当な巨漢であることは言った通り」

「全て何も考えずに戦えば、つまり狂乱となれば、4人の中で最強」

「いや、世界でも最強かもしれない」

「狂戦士と言って、死ぬまで戦うタイプだ」


「最後に、リビアのカマル」

「一つ一つの攻撃は軽いけれど、実に速い」

「ブンブンと蠅のように飛びまわって、捕まえるのに困難」

「実戦では、ナイフ、吹き矢も使うけれど。、必ず猛毒を塗り込んである」

「それと彼も逃げ足が速いタイプ、危なくなれば、即座に退却、我が身を守る」

「危険さと慎重さを併せ持つ男だ」


リーダー階層のある程度の話が進んだことを受けて、松田スタッフは、また新たな情報を伝える。

「おそらく、期日はクリスマス」

「上陸地は晴海ふ頭」

「晴海ふ頭から直近のクリスマスでにぎわう銀座を襲撃」

「ただ、それは実働部隊」

「都内の警察が銀座の争乱鎮圧に向かう中、リーダー階層は永田町へ」

「国会と官邸に向かうようです」


柳生清は、腕を組む。

「仮に日本国内の協力者が当てにならないとなると・・・」

「少人数で効果がある戦法を取ることも考えられる」

「つまり化学兵器、細菌兵器も想定が必要」

「小型の核も心配だ」


柳生事務所では、深刻な話が続けられている。

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