第395話開演前

シルビアと春香の学園文化祭の当日となった。

華音、シルビア、春香、エレーナ、雨宮瞳たちが学園に到着すると、柳生事務所の柳生隆が華音にウィンク。

「大丈夫だ、華音、変な虫は寄せ付けない、完全警護だ」

そんな話をしていると、藤原美里も走り寄って来た。

藤原美里は、満面の笑み。

「今日はおめでとうございます!スピーチ期待しています!」

と、思いっきり華音の手を握る。

真面目な華音は、深く頭を下げ、

「ありがとうございます、わざわざ、拙いスピーチを」

と藤原美里の手を握り返すけれど、他の女子は気に入らない。


シルビア

「ほら!着替えもあるの!ノロマ!」

春香

「あのさ、ごった返ししているの!通行の邪魔!」

エレーナ

「美里さん、場をわきまえて!」

「ねえ、華音君!出演者でしょ!」

となって、VS藤原美里で、結局視線バチバチの状態になる。


さて、そんな一悶着はあったものの、華音は講演会場の学園講堂に入った。

華音はそのセッティングに目を見張る。

「へえ、平城京を背景に、あちこちに明日香村の風景か」

「白壁に朱塗りの柱、空は青く」

「あそこは奈良公園?鹿も歩いている」

エレーナと瞳も面白そうに見ているけれど、華音は、またしてもシルビアと春香に叱られた。

シルビア

「ほらーー!このノロマ!お着替えっていったでしょ!」

春香

「奈良育ちの華音が奈良の風景に見とれてどうするの!」

エレーナと瞳がオロオロするほどの勢いで、華音は着替え室にズルズルと連行されていく。


河合学園長、吉村学園長、文部科学省の藤村、今西圭子、松田明美も顔を見せた。


吉村学園長

「さて、楽しみだね、どんな話になるのやら」

河合学園長

「リハーサルを見た限りでは、実に面白い」

文部科学省藤村

「大臣も期待しています、官房長官と総理もビデオを見たいとか」

今西圭子

「華音ちゃんは、本番に強いタイプだからスピーチは心配ない」

松田明美は、会場内の特に女子の多さに注目。

「それは女子高だから女子が多いのはわかるけれど、その後の華音取り囲みが不安」

エレーナも鋭く会場内を見る。

「とにかく完全警護しないと」

瞳も気合が入る。

「私も身体を張ります」



開演時間が迫ったのか、鈴村律部長が河合学園長と吉村学園長を呼びに来た。

「そろそろ、舞台裏に、スピーチに備えてください」

「それと華音君が、着替えてメチャ可愛いんです」


河合学園長と吉村学園長が頷いて舞台裏に歩き始めた。

今西圭子

「私たちは聴きましょう」

文科省藤村

「そうですね、あまり舞台裏に押し掛けると、邪魔になる」

松田明美

「警護として舞台裏に行くかな」

エレーナ

「そういうことをするからトラブルになるの」

「大人しく座っていてください」

藤原美里も、知らない人ばかりでは不安なようで、結局瞳の隣に座っている。

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