第368話女子受けする街中華の模索 年増二人に叱られる華音

にこやかに街中華を食べる女子組の中で、藤原美里が特に元気。

店内を見まわしながら、一つの提案。

「この街中華の味が気に入りました」

「でも確かに、女の子が入るのは、少しためらいます」

「なので、もう少しおしゃれな街中華がもあってもいいかなあと」

雨宮瞳が、反応が早い。

「そうですね、味そのものは、抜群」

「量を少し減らして、内装をおしゃれに?」

シルビアが難しい顔。

「この昭和レトロ感は残したいなあ」

「何となく薄暗くやつれた感じ、もっさり感も捨てがたい」

春香も考える。

「この雰囲気は、男性用に残しておいて」

「ギャルにも受ける、すんなり入れる街中華ねえ・・・」

エレーナは、あまり理解が出来ないらしい。

「私の母国のルーマニアでは、そこまで体裁を気にしません」

「大地の恵みを味わうのですから、あまりおしゃれでもねえ・・・」

「でも最近は街ではおしゃれになって来てはいますねえ」

森田真由美は、腕を組む。

「とにかく実験して試してみたいなあ」


雨宮瞳は華音を見た。

「とすると、華音君、試す場所があるよ」

華音もすぐに気がついた。

「え?学園のレストランかな」

「日当たりがいいよね、おしゃれなメニューが多いレストラン」

「そこで醤油ラーメンとか餃子?雰囲気に合わないかなあ」

雨宮瞳は悩む華音に迫る。

「学園長に相談して見ない?」

華音は、まだためらう。

「中華専門のシェフがいるかなあ、この味はなかなか出せない」


そんな問答を繰り返す二人にシルビアが切れた。

「そこの特定学園の二人!自分たち限定の会話に入り込まない!」

春香も、ムッとした顔。

「吉村のおばちゃんに相談するのが先決でしょ?そんなの」


華音は、雨宮瞳の顔を見る。

「土日でも部活の練習をしているよね、特に運動部、音楽部もそうかなあ」

雨宮瞳

「うん、その時に、温かいお昼が食べたくなる」

「レストランが営業していると助かる」

「練習試合で来る他校の生徒にも、おしゃれなメニューより街中華メニューのほうが喜ばれるはず」

「汗をかくと、塩分が欲しくなるし」



さて、そんな話をする中、食事は終わった。

ワンボックス車は、森田真由美や雨宮瞳をそれぞれの自宅に送り、華音、シルビア、春香、エレーナをお屋敷でおろした後、藤原美里も田園調布の自宅に送り届るべく、お屋敷を出た。


すると、「街中華夕食」のメンバーになれなかった今西圭子と松田明美が、超お怒り顔で待っていた。


今西圭子

「ふーん・・・若い人ばかりで、ボリュームたっぷりの街中華?美味しかったよねーーーきっと」

松田明美

「少しは、私たちを待とうとか、そんな心配りがないの?」

今西圭子

「華音ちゃん、冷たい態度をとった罰」

松田明美

「お風呂で背中を流しなさい」

今西圭子

「その後、全身マッサージ」

松田明美

「少しでも手抜きしたら、最初からやり直し」


シュンとして下を向く華音になるけれど、シルビアと春香、エレーナは、要領よく姿を消している。



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