第342話順調に話を進める華音、お邪魔虫にもなれないお姉さまたち

結局、お姉さまたち全員のマッサージ施術を終えた華音は。別室に避難、立花管理人と話をしている。


立花管理人

「藤原美里様がお越しになりたいようで、何度もご連絡がございます」

華音

「来るのは美里さんと、他には?」

立花管理人

「ご両親がお付き添いと申されております」

華音

「料理のご希望などはあります?」

立花管理人

「和食をお選びとのこと、メニューにつきましてはお任せ願います」

華音は素直に頷く。

「はい、それは安心しています」

「ところで、こちらからは僕だけにしたいなあと」

立花管理人は苦笑する。

「華音様がそうおっしゃられるのなら仕方ないですが、大丈夫でしょうか」

華音も、そう言われると少し考える。

「そうですよね、あのお姉さんたち、相当食いしん坊だから、ここの料亭メニューを食べたいんでしょうね」

「でも、面倒なんです、付き合いを申し出ておいて、後でケアしろとか癒せとか」

立花管理人は苦笑。

「まあ、それも華音様のお役目です、話しづらかったら、私が連絡をしておきます」


華音は、「それはともかく」として、話題を元に戻す。

「藤原さんのお家とか、よくわからなくて」


立花管理人は、柳生事務所の大きな封筒からレポートを抜き出した。

「ご両親とも外務省の御勤めでした、外交官でした」

「お父上は、大使経験がありますね」

「先々代もおそらくお知り合いと思います」

「ここの料亭の芳名帳を調べましたら、確かに何度も来られております」


華音

「ご縁があるんですね」

立花管理人

「はい、国連の国際親善大使ですので、政府も妥当な人選をしたと思われます」

華音

「文化祭後の、土日などでお願いします」

立花管理人

「了解いたしました、ご連絡をさせていただきます」

立花管理人は、そこで一呼吸置く。

「もちろん、雨宮瞳様にも」


華音は、ホッとして自分の部屋に戻った。

「これで文化祭の段取りと、藤原美里さんとの話の目途がついた」

「後は、一つ一つ正確にこなすことかなあ」


その後の華音は、全く正常のルーティンに入った。


明日の授業の予習をしてからベッドに入り、いつもの通り、お姉さまたちが潜り込んで来ても、全く動じることはない。

ぐっすりと眠ってしまい、お姉さまたちは生殺し状態で、かえって寝不足になる。

朝になれば、簡単にお姉さまだらけのベッドを抜け出し、庭のお地蔵様の御手入れを熱心かつ几帳面にこなす。

そして、通学途上で雨宮瞳と仲良くご挨拶、明るく並んで登校し行くのである。


今西圭子は、超落胆。

「まるで、異性であることを理解していない」

松田明美は自信喪失。

「押し付けても逃げない・・・反応がない」

シルビア

「私たち、単なる肉のかたまり?」

春香

「これでは女性教育など無理だ、スルーされ過ぎ」

エレーナ

「押し倒して既成事実かなあ・・・でも華音ちゃん強いし、簡単には無理」


「お邪魔虫にもなれない」この落胆だけが、お姉さまたちの心に飛び交っている。

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